薔薇のお屋敷のシンデレラ
「…わかり、ました…。」
「ルキにはもちろん言わないわ。
でもね?私はあなたみたいな心の綺麗な人がルキのお嫁さんになってくれたら嬉しいの。」
アンナ様はとても嬉しそうに言うけれど、こんな私が選ばれるはずがない。
そこまで流行やオシャレに興味がなく、今だって髪の毛は下ろしシンプルなドレスを着ている。
私が選ばれない理由はそれだけではない。
「アンナ様…私は…」
気まずさに舌を向く。
「…分かっているわ。
あなたの経験してきたこと・考え方。
…でもルキは絶対に違うと言い切れる。あの子がもしも…あなたを選んだら、その時は考えて欲しいの。」
私は…愛など信じていない。
私の両親は2人とも生きている。
しかし、5年ほど前に離縁した。
2人は私にどちらについていくのか選ばせてくれた。
だが、私はそれを断りずっと暮らしてきたお屋敷で1人暮らしをすることを決めたのだ。
仲が良かった両親。
だんだんと家族ではなくなってしまうまでを知っている私は、恋や愛などを信じきれなくなってしまった。