花火は恋のよに
顔を伏せていると、ふわっと、懐かしいような香りがして、優が私を引き寄せていた。


「……つむぎちゃん、俺の前では我慢しないで思いっきり泣いてもいいんだよ。」


なんて優しく言うから、そのまま優の服に、涙と、あとちょっとの鼻水もしみこませた。




それから、一時間くらいだろうか、涙も枯れるほど泣きつくした私を見て、優は困ったような顔をしてた。


「…………つむぎちゃんには俺がいるから。ずっとついてるから。だから…辛い時は頼って?
…ん、じゃあ、また明日来るから。」


最初の方が聞き取れなくて聞き返そうとしたけれど、まるで犬をなでるみたいに私の頭をくしゃくしゃっとして行ってしまった。



いつものようにおやすみの挨拶をして、優が出て行ったあとの部屋は変に静かで、心がぽっかり空いたような気持ちになった。


今日の優はなんだかあったかかった。






こうして、私の恋は終わった。





いつのまにか、あじさいの季節が終わったころだった。


もうすぐ夏がやって来る。


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