愛を捧ぐフール【完】
2度目の運命の出会いは、婚約者である伯爵と会うだいぶ前の事。
たまたま公務で視察という名目で国王陛下と私の家の男爵領の邸に滞在していた幼いファウスト様が、誤って私の住む邸の離れに来てしまったことが私達の2度目の出会いだった。
正直、もう二度と会うことはないと思っていた。
生まれた時から前世の記憶があるお陰で今までの不遇の状況を理解し、上手く立ち回る事が出来たのに、あの時ばかりは神様を恨んだ。
この時代にかつての夫が生まれ変わった事を知らず、無知なままで年の離れた伯爵の後添いになる事が出来ていれば、貴族の娘らしく家の為の政略結婚を受け入れてそれなりに豊かな生活を送れるのに。
初めてファウスト様を見た時に感じた。
この人が私の唯一愛している人だと。
私の前世(まえ)の私が教えてくれたのだ。
だから、私は彼がクリストフォロス様の生まれ変わりだって事に気付いた。
たまたま公務で視察という名目で国王陛下と私の家の男爵領の邸に滞在していた幼いファウスト様が、誤って私の住む邸の離れに来てしまったことが私達の2度目の出会いだった。
正直、もう二度と会うことはないと思っていた。
生まれた時から前世の記憶があるお陰で今までの不遇の状況を理解し、上手く立ち回る事が出来たのに、あの時ばかりは神様を恨んだ。
この時代にかつての夫が生まれ変わった事を知らず、無知なままで年の離れた伯爵の後添いになる事が出来ていれば、貴族の娘らしく家の為の政略結婚を受け入れてそれなりに豊かな生活を送れるのに。
初めてファウスト様を見た時に感じた。
この人が私の唯一愛している人だと。
私の前世(まえ)の私が教えてくれたのだ。
だから、私は彼がクリストフォロス様の生まれ変わりだって事に気付いた。