愛を捧ぐフール【完】
「クリストフォロス様は国王陛下です。クリストフォロス様を支え、お慰めするのが私達の役目。クリストフォロス様が私達を愛してくださる限り、私達もクリストフォロス様を愛するのが役目なのですよ。テレンティア様」

「エレオノラ様はどうして、そんなに綺麗な事を言えるのですか……?エレオノラ様にとって、私は邪魔な存在でしょう?!」


 諭すように答えると、テレンティア様は眉に皺を寄せて険しい表情をした。今まで見たことのない、顔だった。


 悔しい。本当に悔しい。
 何事もなければ、クリストフォロス様の子供の母親になっているのは私だったのに。


 醜い感情だということは分かっている。
 本当の事を言うと、彼女にも、他の女性にも、クリストフォロス様の事を頼むなんてしたくなかった。


 険しい顔から一転、テレンティア様は瞳に沢山の涙を溜めて気弱な表情を見せる。


「私、私、エレオノラ様に嫌われてるって分かっているんです!でも、私はエレオノラ様と仲良くーー」

「やあ、エレオノラ。起きてるのかーー、何故お前がここにいるんだテレンティア」

「陛下!!」
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