愛を捧ぐフール【完】
一度だけシストと入れ替わって見抜かれそうになってから、オリアーナ嬢と会う時は基本僕自身が行くことにしている。
まだ約束の時間まで少しの猶予があったが、部屋をノックする音に入室を許可すると、金髪に大きくて元気そうな紅色の瞳の美少女が姿を現した。
「いらっしゃい。オリアーナ嬢」
「御機嫌よう、ファウスト殿下。わざわざ時間を作って下さり、ありがとうございます」
優雅にお辞儀をするオリアーナ嬢は、間違いなくこの国で一番と言ってもいい程才色兼備のご令嬢だ。流石は王太子の婚約者……と言うべきか。
僕が王太子でなければ、彼女は夫になるであろう男を虜にし、それなりに幸福な結婚生活を送れただろうな、等と考えながら彼女に席をすすめる。
未婚の令嬢らしく、オリアーナ嬢の後ろに付いてきた侍女は静かに部屋の隅に控えた。
僕も侍女を呼んで、お茶と茶菓子を用意させる。
紙とインクの匂いばかりだった執務室に甘い香りが広がった。
「ファウスト殿下。お仕事の方は大丈夫ですか?王太子という立場は大層大変だと耳にしました」
「大丈夫だよ。僕には優秀な弟のアルフィオがいるんだからね」
まだ約束の時間まで少しの猶予があったが、部屋をノックする音に入室を許可すると、金髪に大きくて元気そうな紅色の瞳の美少女が姿を現した。
「いらっしゃい。オリアーナ嬢」
「御機嫌よう、ファウスト殿下。わざわざ時間を作って下さり、ありがとうございます」
優雅にお辞儀をするオリアーナ嬢は、間違いなくこの国で一番と言ってもいい程才色兼備のご令嬢だ。流石は王太子の婚約者……と言うべきか。
僕が王太子でなければ、彼女は夫になるであろう男を虜にし、それなりに幸福な結婚生活を送れただろうな、等と考えながら彼女に席をすすめる。
未婚の令嬢らしく、オリアーナ嬢の後ろに付いてきた侍女は静かに部屋の隅に控えた。
僕も侍女を呼んで、お茶と茶菓子を用意させる。
紙とインクの匂いばかりだった執務室に甘い香りが広がった。
「ファウスト殿下。お仕事の方は大丈夫ですか?王太子という立場は大層大変だと耳にしました」
「大丈夫だよ。僕には優秀な弟のアルフィオがいるんだからね」