愛を捧ぐフール【完】
 私の嗚咽がだいぶ落ち着いた頃、イオアンナはゆっくりと立ち上がって目の前にくる。私の両手を握って、目線を合わせるようにしゃがむ。


「落ち着きましたか?エレオノラ様」

「ええ……。ありがとうイオアンナ」

「いえいえ。私の主は今も昔もエレオノラ様ただお1人ですから」


 明るく微笑んだイオアンナは、姿はオリアーナ様だけれど随分前から一緒にいた懐かしさを感じた。


「ファウスト様に私、酷いことをしたの」

「酷いことですか」

「ええ。ずっと私の為に足掻いてくれていたのに、私は突き放すような言葉を言ってしまったから……謝りたいわ」

 クリストフォロス様もファウスト様も全力の愛を私に向けてくれていた。私はそれに中途半端に応えていただけだった。


 謝っても彼はきっと許してくれるだろう。そう思える位、彼の想いは充分伝わっている。そして、私の気持ちも多分バレている。
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