愛を捧ぐフール【完】
 首を傾げたイオアンナに私は1つお願いをした。


「フォティオスお兄様に、サヴェリオ様に私に関わらないでって、お願いをして欲しいの」

「サヴェリオ様にですか?」

「ええ。セウェルス伯爵が、あまりよくないことを考えているみたいで……」

「分かりました!伝えておきます!エレオノラ様もお気を付けて。お家に帰ったら手紙を出しますわ!エレオノラ様と陛下の恋を成就させるか一緒に考えましょう!」

「ありがとう。貴女がいると心強いわ」


 イオアンナの言葉に励まされて、私は自然と微笑んでいた。
 そして、イオアンナがフォティオスお兄様と繋がりがあって本当によかった。フォティオスお兄様に何かあったら、どうしようかと思っていたから。


「あ、エレオノラ様は『可哀想な王妃様』のお話をご存知ですか?」

「ええ。知っているわ。古くからあるおとぎ話よね」


 いきなりなんだろうと思っていると、イオアンナは突然呻き声を上げて頭を抱えた。
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