愛を捧ぐフール【完】
「……は?」

「え、フォティオス様私の事考えてくれなかったんですか?!私はフォティオス様の事考えてたのになぁー」

「……か、」

「か?」


 言葉に詰まったフォティオス様は、私から顔を背けて勢いよく言った。


「か、考えなかった事もない……っ!」

「あ、やっぱり考えてくれてたんですね!わーい!」

「お前!いい年をしてはしゃぐな!」


 こめかみに青筋を立てたフォティオス様はどっからどう見ても美青年なのに、言動がお爺さんっぽい。いや、中身がお爺さんだから仕方ないのかもしれないけど。


「フォティオス様ー!そんなくどくどお爺さんみたいな事言ってると、女の子みんな逃げて行っちゃいますよー!」

「お爺さんみたい……?!」


 目を見開いて絶句するフォティオス様だったが、伊達に前世から貴族をやっているだけあってすぐに気を取り直して私をビシッと指差した。顔は怒ってるのか紅潮していたけど。
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