愛を捧ぐフール【完】
 おおらかに笑ったセウェルス伯爵は、私に手を差し出しながら決まり文句のように私を褒めた。セウェルス伯爵のエスコートで乗り込んだ私に続いてビアンカも馬車に乗る。

 一応未婚の男女だから、密室に二人きりになるのは不味い。


 ……ファウスト様と会う時は二人きりだけれど。


 もし、私の元にファウスト様が会いに来ているだなんて知られれば、間違いなく大問題になるだろう。私のレオーネ男爵家が王太子派だから、バレてしまってもお父様やセウェルス伯爵様が揉み消すに違いない。


 第二王子派に知られれば、あっという間にファウスト様のイメージが地に落ちてしまう。


 どっちにしても、私の元に通う事自体がいけないことだ。


 チラリと私の侍女を見たが、彼女は何を考えているか全く分からないいつもの無表情のままだった。
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