愛を捧ぐフール【完】
シストはふぅんと興味深そうに相槌を打った後、ピクリと頬杖をつくのをやめて隠し通路の辺りを見た。
その数秒後、息を切らしたラウルが出てくる。
「お伝えします。反乱が勢力を拡大していて、ウルヘル辺境伯は反乱鎮圧に苦戦を強いられている模様です」
「……ウルヘル辺境伯が?」
声を上げた僕に対して、シストは無言で目を細める。
心当たりはある。無駄にクラリーチェを探すために時間を費やしたつもりはない。
アウレリウス公爵、セウェルス伯爵、レオーネ男爵に不自然な動きを感じたので、見張らせていて正解だった。
まだクラリーチェに手を出されていないし、レオーネ男爵と同じ派閥のアウレリウス公爵が彼女を捕らえているらしいのでそのまま静観している。僕が下手に手を出してしまったら余計に拗れてしまいそうで。
けれど、何かあったらクラリーチェを助けるようにと見張りの者にはラウルを通して告げていた。
「もしかして、アウレリウス公爵が頻繁にレオーネ男爵とセウェルス伯爵に遣いをやってる事に第二王子派が触発されたのかなー?」
「可能性としては高いね。ウルヘル辺境伯が万が一にも殺されたとなったら、これはかなり大事(おおごと)になるよ」
その数秒後、息を切らしたラウルが出てくる。
「お伝えします。反乱が勢力を拡大していて、ウルヘル辺境伯は反乱鎮圧に苦戦を強いられている模様です」
「……ウルヘル辺境伯が?」
声を上げた僕に対して、シストは無言で目を細める。
心当たりはある。無駄にクラリーチェを探すために時間を費やしたつもりはない。
アウレリウス公爵、セウェルス伯爵、レオーネ男爵に不自然な動きを感じたので、見張らせていて正解だった。
まだクラリーチェに手を出されていないし、レオーネ男爵と同じ派閥のアウレリウス公爵が彼女を捕らえているらしいのでそのまま静観している。僕が下手に手を出してしまったら余計に拗れてしまいそうで。
けれど、何かあったらクラリーチェを助けるようにと見張りの者にはラウルを通して告げていた。
「もしかして、アウレリウス公爵が頻繁にレオーネ男爵とセウェルス伯爵に遣いをやってる事に第二王子派が触発されたのかなー?」
「可能性としては高いね。ウルヘル辺境伯が万が一にも殺されたとなったら、これはかなり大事(おおごと)になるよ」