愛を捧ぐフール【完】
もうどんな葬式をあげたのかよく覚えていない。ただ、王妃という事もあり、盛大なものになったのだろう。
年若いエレオノラが急に亡くなるというのは周りにとっては驚きだったらしく、側室が妊娠したばかりという事もあり、陰謀が囁かれたり色々な憶測が飛んだ。
エレオノラを失くした悲しみにさえ浸れなかった僕の元には、次から次へと国王の仕事が舞い込む。
1人になりたいのに、疲れているのに、終わりのないすぐ側に誰かが絶対いる騒々しい日々はずっと続く。
普通に歩いている筈なのに、疲れた身体を引き摺っているかのような感覚がずっと僕を襲う。
エレオノラのいた部屋は、今はもう主が居なくなって、侍女もそれぞれエレオノラの実家へと帰っていったりした。
すっかり誰もいなくなった部屋だけれど、エレオノラの私物がまだ残されたまま。
肝心の主だけがいない。
どうして僕は、こんな事をやっているんだ?
何のために?
全部全部国の為。国民の為。