愛を捧ぐフール【完】
「ファウスト殿下。罰を覚悟で申し上げます。貴方の婚約者であるアウレリウス公爵令嬢オリアーナと、セウェルス伯爵の婚約者であるレオーネ男爵令嬢クラリーチェと現在連絡が取れないのです。何かご存知ありませんでしょうか?」
「サヴェリオお前……?!」
アルフィオ殿下はテーブルに手をついて勢いよく立ち上がる。テーブルの上の茶器が派手な音を立てたが、それには構わずに目を驚愕に見開いて俺を見た。
こんなの不義密通に近いことを告白しているようなものだから。
対するファウスト殿下は静かに俺に問い掛けた。
「それは……フォティオスとしての頼み?それともサヴェリオとしての頼み?」
「……両方、です」
アルフィオ殿下は訳が分からないといったように俺達を見比べるが、ファウスト殿下は気を抜いたように唇で弧を描く。
「よかった。昔のよしみで助けてくれなんてほざいていたら、僕は許さなかったよ」
「……合格を貰えたようで何よりだよ……いや、何よりです」
そういえば今世では全然話していなかったが、昔と変わらない調子のファウスト殿下に思わず昔のような言葉遣いが出る。
慌てて直したけれど、ファウスト殿下は軽く手を振って、前と一緒でいいよ、僕も調子が狂ってしまうと言った。
そして座れとアルフィオ殿下の隣のソファーを顎で指した。
「サヴェリオお前……?!」
アルフィオ殿下はテーブルに手をついて勢いよく立ち上がる。テーブルの上の茶器が派手な音を立てたが、それには構わずに目を驚愕に見開いて俺を見た。
こんなの不義密通に近いことを告白しているようなものだから。
対するファウスト殿下は静かに俺に問い掛けた。
「それは……フォティオスとしての頼み?それともサヴェリオとしての頼み?」
「……両方、です」
アルフィオ殿下は訳が分からないといったように俺達を見比べるが、ファウスト殿下は気を抜いたように唇で弧を描く。
「よかった。昔のよしみで助けてくれなんてほざいていたら、僕は許さなかったよ」
「……合格を貰えたようで何よりだよ……いや、何よりです」
そういえば今世では全然話していなかったが、昔と変わらない調子のファウスト殿下に思わず昔のような言葉遣いが出る。
慌てて直したけれど、ファウスト殿下は軽く手を振って、前と一緒でいいよ、僕も調子が狂ってしまうと言った。
そして座れとアルフィオ殿下の隣のソファーを顎で指した。