愛を捧ぐフール【完】
「アウレリウス公爵。セウェルス伯爵がお見えになっています」
ノックの後、入ってきた侍従の言葉にアウレリウス公爵は通せ、と一言言った。
わたくしも侍従と一緒に退出しようと思ったが、アウレリウス公爵がわたくしに声を掛ける。
「お前はいてくれ」
「……かしこまりました」
入室してきたセウェルス伯爵は、部屋の隅に控える侍女には気にも留めずに、丸々とした身体をアウレリウス公爵の方へ移動させる。
「アウレリウス公爵。急な訪問失礼しました」
「大丈夫だ。どうかしたのかねセウェルス伯爵」
「クラリーチェ嬢の処遇について伺いたく思いまして」
セウェルス伯爵の言葉にアウレリウス公爵はピクリと眉を跳ねあげた。見る見るうちに険しい表情に変わっていく。
ファウスト殿下を王位に付けたいアウレリウス公爵にとって、前世の妻であったクラリーチェ様は邪魔でしかない。今世での憂いは全て潰したいというアウレリウス公爵の考えだ。
だから、アウレリウス公爵は強引にセウェルス伯爵とクラリーチェ様を結婚させようとしている。
セウェルス伯爵は何も知らないにも関わらず、だ。
ノックの後、入ってきた侍従の言葉にアウレリウス公爵は通せ、と一言言った。
わたくしも侍従と一緒に退出しようと思ったが、アウレリウス公爵がわたくしに声を掛ける。
「お前はいてくれ」
「……かしこまりました」
入室してきたセウェルス伯爵は、部屋の隅に控える侍女には気にも留めずに、丸々とした身体をアウレリウス公爵の方へ移動させる。
「アウレリウス公爵。急な訪問失礼しました」
「大丈夫だ。どうかしたのかねセウェルス伯爵」
「クラリーチェ嬢の処遇について伺いたく思いまして」
セウェルス伯爵の言葉にアウレリウス公爵はピクリと眉を跳ねあげた。見る見るうちに険しい表情に変わっていく。
ファウスト殿下を王位に付けたいアウレリウス公爵にとって、前世の妻であったクラリーチェ様は邪魔でしかない。今世での憂いは全て潰したいというアウレリウス公爵の考えだ。
だから、アウレリウス公爵は強引にセウェルス伯爵とクラリーチェ様を結婚させようとしている。
セウェルス伯爵は何も知らないにも関わらず、だ。