愛を捧ぐフール【完】
「クラリーチェ嬢をフィリウス侯爵家の息子サヴェリオにけしかけようと思っております。フィリウス侯爵家は第二王子派の中核に近い人物。人の婚約者に懸想している、なんて醜聞はフィリウス侯爵家の勢いを削ぐのに使えるのではないかと」
「ならぬ」
「何故ですか?幸いにも第二王子の母親、グローリア王妃様の目にも留まる程、クラリーチェ嬢は警戒されているのです。つまり、サヴェリオはそれだけクラリーチェ嬢を気に掛けているのです」
「ならぬと言っている!!前にも聞いた。くどいぞ!!」
ガタリと机が耳障りな音を立てる。
何故そこまでアウレリウス公爵が激怒するのか、セウェルス伯爵には分からないのだろう。納得のいかない顔を見せつつ、彼は引き下がった。
王侯貴族の令嬢は政治の駒でしかない。
前世のクラリーチェ様も、わたくしも、政治の駒でしかなかった。
だから前世で政略結婚した相手と恋愛していたクラリーチェ様は、非常に幸せだったのだ。
「……っ、分かりました。ですが今度開催される公爵が主催するパーティーは、婚前に行われる一番大きいパーティーなのです。そちらの方には出席するとアルフィオ殿下にも他の者にも伝えていますので、出席させて頂きたく思います」
「……分かった。だが、クラリーチェ嬢の事はしっかり見張っていろ。お前の婚約者だろう?」
「勿論でございます」
「ならぬ」
「何故ですか?幸いにも第二王子の母親、グローリア王妃様の目にも留まる程、クラリーチェ嬢は警戒されているのです。つまり、サヴェリオはそれだけクラリーチェ嬢を気に掛けているのです」
「ならぬと言っている!!前にも聞いた。くどいぞ!!」
ガタリと机が耳障りな音を立てる。
何故そこまでアウレリウス公爵が激怒するのか、セウェルス伯爵には分からないのだろう。納得のいかない顔を見せつつ、彼は引き下がった。
王侯貴族の令嬢は政治の駒でしかない。
前世のクラリーチェ様も、わたくしも、政治の駒でしかなかった。
だから前世で政略結婚した相手と恋愛していたクラリーチェ様は、非常に幸せだったのだ。
「……っ、分かりました。ですが今度開催される公爵が主催するパーティーは、婚前に行われる一番大きいパーティーなのです。そちらの方には出席するとアルフィオ殿下にも他の者にも伝えていますので、出席させて頂きたく思います」
「……分かった。だが、クラリーチェ嬢の事はしっかり見張っていろ。お前の婚約者だろう?」
「勿論でございます」