愛を捧ぐフール【完】
その一言で、場に静かな戦意の高まりが起こった。
大声こそ上げないが、皆飢えた肉食獣のようにギラついた瞳に変わる。
僕が解散を告げると、その場にいた人々は散り散りになる。天幕に誰もいなくなったタイミングを見計らってか、シストとラウルがひょっこりと顔を見せた。
「いよいよ、だね。初陣はどうー?」
「初陣も何も……勝ち戦みたいなものだからね」
苦笑した僕の傍にきたシストは、先程まで将軍が座っていた場所を陣取る。
まだ広げっぱなしの地図を両肘をついて眺めた後、シストは城の見取り図の地下道を指でなぞる。
「問題はどこまで苦戦するか……ってとこかなー?死に物狂いの人間は、何を仕出かすか分からないから」
「そうだね。反乱軍も後がないから。優秀な軍師がいる訳でもないけど、奇策を用意している可能性も否めない」
「って言っておきながら、何もないだろーとは思うけどねー」
「そうだね。でも、心配し過ぎて損はないよ。いざと言う時の選択肢は多い方がいい」
大声こそ上げないが、皆飢えた肉食獣のようにギラついた瞳に変わる。
僕が解散を告げると、その場にいた人々は散り散りになる。天幕に誰もいなくなったタイミングを見計らってか、シストとラウルがひょっこりと顔を見せた。
「いよいよ、だね。初陣はどうー?」
「初陣も何も……勝ち戦みたいなものだからね」
苦笑した僕の傍にきたシストは、先程まで将軍が座っていた場所を陣取る。
まだ広げっぱなしの地図を両肘をついて眺めた後、シストは城の見取り図の地下道を指でなぞる。
「問題はどこまで苦戦するか……ってとこかなー?死に物狂いの人間は、何を仕出かすか分からないから」
「そうだね。反乱軍も後がないから。優秀な軍師がいる訳でもないけど、奇策を用意している可能性も否めない」
「って言っておきながら、何もないだろーとは思うけどねー」
「そうだね。でも、心配し過ぎて損はないよ。いざと言う時の選択肢は多い方がいい」