愛を捧ぐフール【完】
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 東の空。闇に覆われていた天が徐々に色を変える。
 深い紺色に変わった時、僕は馬上で居城付近の山の中腹まで静かに降りた自軍を確認した。


 夜に紛れて奇襲よりも、まだ視界の良い明け方を選んだ。
 自軍の数が多いので、暗闇の中を進軍して反乱軍と混戦になり、味方同士で殺し合いする恐れもあったのだ。


 ーーそれに、理由はもう一つある。


 腰に佩いた剣を抜く。
 一気に全ての人間の視線が背中に集まった。こういう状況は慣れていたが、今回ばかりは緊張する。自分にとっても〝賭け〟だったから。


 深く息を吸い込み、剣を高く掲げる。
 ーー空に、淡い黄赤色が広がった。


「これより反乱軍の制圧を開始する!!



 ーー私に続け!!」
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