愛を捧ぐフール【完】
「実は……夜会で会ったレオーネ男爵家のクラリーチェ嬢の事ですが……」
「ああ、あの令嬢か……。レオーネ男爵の愛人の娘だそうだが、随分と美人だったな。手元に置いて育てていたのもよく分かる。なんだ?惚れたか?」
顎に手を当てて思案顔だったアルフィオ様だったが、俺を見てニヤニヤ笑う。
「惚れたなどといった、そういう感情はありません」
「素直じゃないなあ。この前の舞踏会でずっと見つめていたじゃないか」
と言われても、彼女は俺がフォティオスだった頃の妹エレオノラであり、今でも妹のように感じている。
つまりは、家族に向ける情なのだ。兄妹の間に色恋等といったものなんてない。
ずっと見つめていたのは、驚いただけだ。
クリストフォロス様がこの時代に生まれ変わっていた時、心のどこかで期待した。エレオノラがこの世のどこかで生きているのではないのかと。
実際に見た妹は、今世で血が繋がっていなくても可愛い妹のままだった。
今世こそ、彼女に幸せになってもらいたい。
「ああ、あの令嬢か……。レオーネ男爵の愛人の娘だそうだが、随分と美人だったな。手元に置いて育てていたのもよく分かる。なんだ?惚れたか?」
顎に手を当てて思案顔だったアルフィオ様だったが、俺を見てニヤニヤ笑う。
「惚れたなどといった、そういう感情はありません」
「素直じゃないなあ。この前の舞踏会でずっと見つめていたじゃないか」
と言われても、彼女は俺がフォティオスだった頃の妹エレオノラであり、今でも妹のように感じている。
つまりは、家族に向ける情なのだ。兄妹の間に色恋等といったものなんてない。
ずっと見つめていたのは、驚いただけだ。
クリストフォロス様がこの時代に生まれ変わっていた時、心のどこかで期待した。エレオノラがこの世のどこかで生きているのではないのかと。
実際に見た妹は、今世で血が繋がっていなくても可愛い妹のままだった。
今世こそ、彼女に幸せになってもらいたい。