愛を捧ぐフール【完】
何度思い出しても、妹を不幸にしたあの男と自分の無力感が強く心にこびり付いて取れない。
きっと、俺が前世の記憶を持ったまま生まれ変わったのは、俺が過去味わった後悔を取り戻す為だと。侯爵家主催の舞踏会で会ったクラリーチェエレオノラが今にも消えそうな笑みを見せた瞬間悟ったのだ。
気まずそうに俺から視線を逸らそうとする彼女は、きっと俺がフォティオスだということに気付いていたであろう。彼女は俺にきっと見られたくなかった筈だ。
彼女の隣に立つ肥えた中年男性であるセウェルス伯爵を。
また、妹は不幸な結婚をしようとしていると俺は察した。
だから、俺は助けなくてはならない。
今世こそ、妹に幸せになってもらう為に。
「クラリーチェ嬢に対しての恋愛感情を持つことはこの先もずっとないでしょう。永遠に」
「なんだ。つまらんな。色恋沙汰を見ているのは楽しいのだが」
口を尖らせたアルフィオ様は退屈そうに頬杖をついた。この人は人の色恋沙汰を見るも聞くのも好きだが、自分の色恋に対しては興味が無いらしい。
いや、地位の為の政略結婚をするつもりなので、諦めていると言った方が正しいか。
きっと、俺が前世の記憶を持ったまま生まれ変わったのは、俺が過去味わった後悔を取り戻す為だと。侯爵家主催の舞踏会で会ったクラリーチェエレオノラが今にも消えそうな笑みを見せた瞬間悟ったのだ。
気まずそうに俺から視線を逸らそうとする彼女は、きっと俺がフォティオスだということに気付いていたであろう。彼女は俺にきっと見られたくなかった筈だ。
彼女の隣に立つ肥えた中年男性であるセウェルス伯爵を。
また、妹は不幸な結婚をしようとしていると俺は察した。
だから、俺は助けなくてはならない。
今世こそ、妹に幸せになってもらう為に。
「クラリーチェ嬢に対しての恋愛感情を持つことはこの先もずっとないでしょう。永遠に」
「なんだ。つまらんな。色恋沙汰を見ているのは楽しいのだが」
口を尖らせたアルフィオ様は退屈そうに頬杖をついた。この人は人の色恋沙汰を見るも聞くのも好きだが、自分の色恋に対しては興味が無いらしい。
いや、地位の為の政略結婚をするつもりなので、諦めていると言った方が正しいか。