愛を捧ぐフール【完】
「……ペルディッカス。死ぬ前にも言っただろう。私には国王という地位よりも、大事にしたいものがあったと。だから……だから、〝僕〟は自分の不甲斐なさにも地位にも恨んでいるけど、お前も恨んでいるよ」
ファウスト様が目を細める。金色のまつ毛が影を作った。
「だから、エレオノラ様が亡くなられた時、私は嬉しかったのです。そして、私は殺さなければならなかった。アルガイオの血を穢すテレンティア様の子供を」
「……知ってしまったから、僕はお前を殺したんだ」
ファウスト様は静かにそう言った。
テレンティア様の子供は殺されたと、ビアンカは教えてくれた。まさか、アウレリウス公爵が殺していたなんて。
「エレオノラ様はご存知ないようですが、テレンティア様のお子様はファウスト様の、アルガイオ王族の血を引いておられなかったんです。クリストフォロス様がそう仕組んだのです」
「やめろ!!」
息を飲んだ。本当かどうかなんて、声を荒らげたファウスト様の反応で分かる。彼が正しい事を選択していたと思っていたのに、いつの間にか道を踏み外していたのだ。
ファウスト様が目を細める。金色のまつ毛が影を作った。
「だから、エレオノラ様が亡くなられた時、私は嬉しかったのです。そして、私は殺さなければならなかった。アルガイオの血を穢すテレンティア様の子供を」
「……知ってしまったから、僕はお前を殺したんだ」
ファウスト様は静かにそう言った。
テレンティア様の子供は殺されたと、ビアンカは教えてくれた。まさか、アウレリウス公爵が殺していたなんて。
「エレオノラ様はご存知ないようですが、テレンティア様のお子様はファウスト様の、アルガイオ王族の血を引いておられなかったんです。クリストフォロス様がそう仕組んだのです」
「やめろ!!」
息を飲んだ。本当かどうかなんて、声を荒らげたファウスト様の反応で分かる。彼が正しい事を選択していたと思っていたのに、いつの間にか道を踏み外していたのだ。