愛を捧ぐフール【完】
歯切れの悪いファウスト様は、しばしの間悩んでいるたのか黙り込む。
「……戻って来いだって。王都に」
「え……?」
「僕の優秀な頭脳が惜しいって書いてある。……まあ、一度国王やっていたし……政治的な仕事には慣れてるといえば慣れてるし、専門ではあるんだけど……」
「戻るんですか?」
「まさか!もう僕の葬儀は済んでいるのに。……それに僕はもうペルディッカスーーじゃないな、アウレリウス公爵には絶対に関わりたくない」
大袈裟に肩を竦めるファウスト様に王都に戻る意志はないらしく、そのまま封筒を上着のポケットにしまう。
ファウスト様の事を最後の最後まで、探していたのはアウレリウス公爵だった。傍から見れば、自分の支持していた王子を探す部下ーーあるいは、自分の娘の婚約者を探す義父のように見えたであろう。
前世を知っている面々から見れば、薄ら寒いものを感じたけれど。
「あら、奇跡的に生きていた王子様っていう筋書きでもいいじゃないですか」
「それなら君は、その王子を献身的に介護した娘だ。王子様は娘の献身的な介護に心打たれて、結婚を申し込むんだ」
「1つおとぎ話が出来そうなシナリオですね」
「……戻って来いだって。王都に」
「え……?」
「僕の優秀な頭脳が惜しいって書いてある。……まあ、一度国王やっていたし……政治的な仕事には慣れてるといえば慣れてるし、専門ではあるんだけど……」
「戻るんですか?」
「まさか!もう僕の葬儀は済んでいるのに。……それに僕はもうペルディッカスーーじゃないな、アウレリウス公爵には絶対に関わりたくない」
大袈裟に肩を竦めるファウスト様に王都に戻る意志はないらしく、そのまま封筒を上着のポケットにしまう。
ファウスト様の事を最後の最後まで、探していたのはアウレリウス公爵だった。傍から見れば、自分の支持していた王子を探す部下ーーあるいは、自分の娘の婚約者を探す義父のように見えたであろう。
前世を知っている面々から見れば、薄ら寒いものを感じたけれど。
「あら、奇跡的に生きていた王子様っていう筋書きでもいいじゃないですか」
「それなら君は、その王子を献身的に介護した娘だ。王子様は娘の献身的な介護に心打たれて、結婚を申し込むんだ」
「1つおとぎ話が出来そうなシナリオですね」