愛を捧ぐフール【完】
両手いっぱいに花を抱えたイオアンナは、私が落ち込んでいるのを察してか今までより明るく振る舞うようになった。
他の侍女にも気落ちしているのをバレないように振舞っているのだが、やはり侍女の中でも長い事イオアンナが仕えてくれているのもあってか誤魔化せなかったようだ。
イオアンナの両手には立派に咲き誇る深紅の薔薇。昔の人が付けた花言葉は勿論分かっている。そして、花束だけでなく毎日色々な贈り物を用意して届けてくれているのも。
それが、全て私好みのものである事も。
クリストフォロス様の気持ちは、確かに私の元にある。
「じゃーん!どうですか!エレオノラ様!中々いい感じじゃないですか?!」
「ええ、素敵。素敵よ、イオアンナ。一気にお部屋が華やいだわ」
「ありがとうございます!」
胸を張って喜ぶイオアンナは、無邪気にニコニコと微笑んだ。