愛を捧ぐフール【完】
 日が高く登る前に、その知らせを持ってきてくれたイオアンナが、気を遣っていつも明るく振舞ってくれる筈なのに心配そうに私の顔を覗き込んできた。


「エレオノラ様?大丈夫ですか?」

「……イオアンナ?どうしてそんなことを?クリストフォロス様に待望の御子が出来るのよ?女児でも男児でもとても喜ばしい事だわ」

「ええ……ですが、エレオノラ様……」


 イオアンナはその青い瞳に心配そうな色を宿して私を見る。


「どうしたの?イオアンナ」

「エレオノラ様、お顔色がとても悪いです。今日は横になった方がよろしいかと」

「そう?まだ起きたばかりなのだけれど……」

「いいえ!寝た方がいいです!陛下にもお伝えしておきます」

「駄目よ」

 握り拳を作って主張するイオアンナに、私はもう一度駄目よ、と言葉を重ねた。
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