私の手紙が届くトキ
Paragraph :1


AM 7:45

「やっばー!遅刻ー!おかあ起こしてよー!!」

高校2年 夏。

昨日の夜は軽く1時過ぎに就寝。

半年前に彼氏と別れてから、日々好きなタレントの動画を探してエンドレスで見続ける日々。


橋本 柚 (はしもと ゆず) 17歳になった。


「ゆずちゃーーん ママの携帯みてないー?」



橋本 那々(はしもと なな) 33歳。これでも私の母である。



「見てなーい!おかあ送ってー!!」



慌ただしい私の朝。この街に住んで10年目。

父親はおらず、母1人子1人の母子家庭で育った。


"母子家庭"というと勝手なイメージで、母と父は離婚し、母は水商売をしているというレッテルを貼る偏見者が多いが、父は2年前バイクの事故でこの世を去り、母は近所の歯科医院で歯科衛生士をしている。


マイペースで若すぎる母だが、1番頑張る姿を見てきた。誰よりも信頼でき、誰よりも感謝している。



一途な父と母の血を受け継いで私もそれなりに一途な方だと思う。

半年前に別れた彼には訳もわからずに急に別れを告げられた。

これから今日まで。

春は来る気配もなく季節は夏になった。

< 1 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop