アイスクリームと雪景色

「いや、ちょっとお前に話しておこうと思って、実は探してたんだ」

「私にですか?」

やはり仕事のミスやトラブルのことだろうか。不安になった美帆は、上司の表情を探るようにじっと見つめた。

「そんな深刻なことじゃない。なにしろ、オフィスじゃあいつが付きっきりだから、話しかける隙もないだろう」

苦笑を浮かべる彼に、美帆も思わず笑みを浮かべた。

確かに里村は、相変わらず美帆にくっついている。他の誰かと二人きりになるなんて、オフィスでは不可能だろう。

「まあ、とにかく俺も一杯やるよ」

自動販売機でコーヒーを買うと、カウンターの前で待っている美帆の傍に立ち、まずはゆっくりとひと口味わう。

「うーん、相変わらず美味くはないな」

「ふふ、そうですね」
< 113 / 395 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop