アイスクリームと雪景色
グレイのセーターに、黒のスラックス。いつもの箱崎のスタイルであるが、白いシャツの襟元が少し汚れていた。
アラフォー世代にしては体型のバランスがよく、腹も出ていない。仕事の上では短気で熱血で、近寄り難い雰囲気ではあるが、普段は品の良いインテリタイプで、顔立ちも悪くないので、他部署にはファンもいるらしい。
だが、彼が意外にもてる理由のひとつは、いまだに独身であることだと美帆は推測する。
襟元の汚れは、彼を世話する女性が現在いない証拠であり、彼に思いを寄せる女性なら、その汚れを落としてあげたい気持ちになるだろう。
本人は自覚なしだが、そんなふうに世話を焼きたくなるようなところが、この人にはある……と、長い付き合いの美帆には感じられるし、同僚らもそう話している。
「成田」
「あ、はいっ」
上司をじろじろ観察してしまってばつが悪く、慌てて目を逸らす。
「里村のことだが」
「え?」
ぎくりとした。
あんなことがあった、昨日の今日である。何の話だろうと思って、どきどきする。
アラフォー世代にしては体型のバランスがよく、腹も出ていない。仕事の上では短気で熱血で、近寄り難い雰囲気ではあるが、普段は品の良いインテリタイプで、顔立ちも悪くないので、他部署にはファンもいるらしい。
だが、彼が意外にもてる理由のひとつは、いまだに独身であることだと美帆は推測する。
襟元の汚れは、彼を世話する女性が現在いない証拠であり、彼に思いを寄せる女性なら、その汚れを落としてあげたい気持ちになるだろう。
本人は自覚なしだが、そんなふうに世話を焼きたくなるようなところが、この人にはある……と、長い付き合いの美帆には感じられるし、同僚らもそう話している。
「成田」
「あ、はいっ」
上司をじろじろ観察してしまってばつが悪く、慌てて目を逸らす。
「里村のことだが」
「え?」
ぎくりとした。
あんなことがあった、昨日の今日である。何の話だろうと思って、どきどきする。