アイスクリームと雪景色
(まさか、どこかで見られていたとか?)

箱崎は、社員同士の恋愛ごとがあまり好きではない。仕事に必ず支障をきたすからだと言う。そんな彼に里村の言動を知られたら、注意されるのはむしろ自分だと思う。

だが、彼が口にしたのは別のことだった。

「今日の昼休憩に、食堂で総務の金本(かねもと)さんに会ってな」

「金本さん……あ、総務課長ですね」

箱崎は頷いた。

「意外なことを聞いたんだ。成田、お前は里村がZ大出身なのは知ってるな」

「はい」

難関で有名な一流私大だ。里村は、どんな手を使って潜り込んだんだなどと、先輩らによくからかわれている。

「金本さんも同じZ大のOBで、しかも同じ応援団に在籍していたらしい」

「応援団?」

出身大学は知っていたが、所属したサークルやクラブなどは知らなかった。応援団というのは意外である。里村のことだから、もっと派手で、どちらかといえば軟派なクラブに入っていたイメージがある。
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