アイスクリームと雪景色
【成田美帆殿】
『平成××年 12月24日~25日に行われる社員旅行の幹事役を命ずる』
平成××年12月5日
北里乳業株式会社
代表取締役会長 外山祐太郎
「えっ?」
解雇通知書ではなかった。
美帆は、わけが分からない。
「急なことで本当に大変だと思うが、頼まれてくれ。何しろ上から命令されてな、俺にもどうにもできんのだ。縦社会で育った人間の辛いところかな。まあ、開発部の社員にとっては勉強にもなるし、悪いことではないから。箱崎さんには俺から伝えておく。心配しないで、頑張ってくれ!」
金本は豪快に笑うと、オフィスに入っていった。
美帆はもう一度、手もとの紙を見直す。
ひどく適当な様式だが、サインは本物であり、まるで正式な辞令書だ。それにしても、まったくどういうことか分からない。
(幹事役の辞令って……社員旅行って、どういうこと)
封筒を握り締めると、手応えがあった。
まだ何か入っている。
美帆は縋りつくようにして中身を取り出す。
これはテレビでよくやるドッキリか何かに違いない。上司どころか社長までも飛び越え、会長に社員旅行の幹事を命じられるなんてありえない。
だが、さらなる衝撃が美帆を襲った。
『平成××年 12月24日~25日に行われる社員旅行の幹事役を命ずる』
平成××年12月5日
北里乳業株式会社
代表取締役会長 外山祐太郎
「えっ?」
解雇通知書ではなかった。
美帆は、わけが分からない。
「急なことで本当に大変だと思うが、頼まれてくれ。何しろ上から命令されてな、俺にもどうにもできんのだ。縦社会で育った人間の辛いところかな。まあ、開発部の社員にとっては勉強にもなるし、悪いことではないから。箱崎さんには俺から伝えておく。心配しないで、頑張ってくれ!」
金本は豪快に笑うと、オフィスに入っていった。
美帆はもう一度、手もとの紙を見直す。
ひどく適当な様式だが、サインは本物であり、まるで正式な辞令書だ。それにしても、まったくどういうことか分からない。
(幹事役の辞令って……社員旅行って、どういうこと)
封筒を握り締めると、手応えがあった。
まだ何か入っている。
美帆は縋りつくようにして中身を取り出す。
これはテレビでよくやるドッキリか何かに違いない。上司どころか社長までも飛び越え、会長に社員旅行の幹事を命じられるなんてありえない。
だが、さらなる衝撃が美帆を襲った。