アイスクリームと雪景色
「こんにちは」
美帆が近付くと、彼女はにっこりと微笑んで挨拶した。
ネームプレートには織田(おだ)と印字されている。年齢は25か6。肩までの黒髪は艶やかで、控えめなメイクが清潔な印象を持たせる。それでいて、そこはかとない色香が漂うのが不思議だ。
「私、菓子事業部商品開発部企画課所属の成田美帆と申します」
織田は微笑を浮かべたまま、PC画面に目を走らせる。社員証チェックの情報で確認済みだろうが、本当に間違いないのか、自らの眼で照合しているのだ。
美帆はお返しのように彼女を観察する。
ひと目で高級品と分かるスーツはオーダーメイドの制服だ。アクセサリーは自前だろうが、決して安物ではない。
(それに比べて……)
美帆は開発部の面々を思い浮かべる。彼らの纏うセーターやシャツは、まったくの普段着だ。それどころか、朝起きてそのまま出かけてきたような、寝巻き同然の格好で仕事する人もいる。
美帆が近付くと、彼女はにっこりと微笑んで挨拶した。
ネームプレートには織田(おだ)と印字されている。年齢は25か6。肩までの黒髪は艶やかで、控えめなメイクが清潔な印象を持たせる。それでいて、そこはかとない色香が漂うのが不思議だ。
「私、菓子事業部商品開発部企画課所属の成田美帆と申します」
織田は微笑を浮かべたまま、PC画面に目を走らせる。社員証チェックの情報で確認済みだろうが、本当に間違いないのか、自らの眼で照合しているのだ。
美帆はお返しのように彼女を観察する。
ひと目で高級品と分かるスーツはオーダーメイドの制服だ。アクセサリーは自前だろうが、決して安物ではない。
(それに比べて……)
美帆は開発部の面々を思い浮かべる。彼らの纏うセーターやシャツは、まったくの普段着だ。それどころか、朝起きてそのまま出かけてきたような、寝巻き同然の格好で仕事する人もいる。