アイスクリームと雪景色
「もう決めたことですから!」

「わ、分かった。分かったけど、それなら早く旅行会社に頼まなくちゃ」

「心配ないです。俺のやり方で準備しますので」

「え……」

「里村式で、あなたを連れて行きます」

背後でエレベーターが到着する音がした。

里村はエレベーターから降りた開発部の社員に、「お疲れ様です!」などと声をかけている。いつもの、元気いっぱいの新入社員の顔になって。

(里村式って、一体……?)

美帆がぼんやりしていると、里村が振り返った。

「そろそろオフィスに戻りましょうか。成田先輩!」

「え、ええ」

とりあえず旅行の件は彼に任せることにした。何を考えているのか、よく分からないが。



美帆はオフィスに戻ると、社員旅行の実行について箱崎に報告した。

「そうか、よし。南課長には明日にでも俺から話しておく。急なことだが、スケジュールを調整すれば大丈夫だ」

箱崎は温泉ホテルのリーフレットを手に、その場にいるメンバーに声をかけた。会長のアイスクリームエピソードは既に伝わっているようで、話はすぐにまとまり、企画課第二グループの8名全員が旅行に参加することになった。
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