アイスクリームと雪景色

父親が風邪をこじらせて入院したと、昨夜連絡があった。熱が高く、胸を押さえてかなり苦しそうな様子なので医者に見せたら肺炎だったとの事。

「お父さん、相変わらず医者嫌いなんだ」

「そうなのよ。こじらせてから病院につれてけ~なんて。まったく馬鹿なんだから」

美帆が運転する車の助手席で、母は呆れながらも安心した笑顔を浮かべる。

「昨夜のうちに容態も落ち着いたし、医師(せんせい)が仰るには、長引くことはないだろうって」

「それは良かったわ」

来週は社員旅行に出かける。父の具合が悪ければ、それどころではない。

母の言葉を聞いてほっとしたが、同じくほっとするであろう里村の姿が頭に浮かび、ちょっぴり可笑しかった。

「なんだい?」

「ううん、別に」

雪の堤防道路を走りながら、美帆は心が軽くなるのを感じていた。
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