アイスクリームと雪景色
(ホント、そうよね)

寂しげな母に寄り添い、ぽんっと肩を叩いた。

「それじゃね、お母さん。困ったことがあればいつでも電話して。すぐに飛んで来るから」

母は目をぱちくりとさせるが、釣られるようにして笑った。

「ありがとう、美帆。今回は気が動転して呼び出しちゃったけど、お父さんはあのとおり回復してるし、心配しなくてもいいから。それと……」

「ん?」

電車の扉が開き、母は乗降のじゃまにならないよう後ろに下がった。言いかけた言葉は一度白い息に消えたが、わずかなためらいの後に再生された。

「さっきのことだけど、里村さんのことを話してるあんたが、あまりにも生き生きとしてたから、もしかしてと想像したんだよ。坂崎さんの話が出ないし、変化があったのかなって」

車掌が笛を吹き、美帆は慌てて電車に飛び乗った。

扉が閉まり、すぐに車両が動き出す。

ガラスにへばりつき、手を振る母が遠ざかるのを見守るしかなかった。
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