アイスクリームと雪景色
今日から12月。
男に振られようが日常は続いている。
一人暮らしを始めた大学時代から規則正しい生活を崩さない美帆は、いつものように起き、朝食をとり、顔を洗って化粧をし、身支度を整えてアパートを出る。
通勤ラッシュの電車に揺られ、会社の最寄り駅で降りたあとは、歩道をひたすら進んで行く。3時の茶菓子を買うためコンビニに立ち寄ることもあるが、まっすぐに職場を目指すのが基本である。
晴れの日も、雨の日も、それは変わらない。
そう、どんなことがあっても。
「えっ?」
ブーツの先を、白いものが掠めた。
美帆は思わず顔を上げる。
電飾が取り付けられた街路樹も、通勤の車で埋まる道路も、無味乾燥に建ち並ぶオフィスビルも、あっというまに冬の色になっていく。
灰色の空から次々と降りてくる白い欠片に、美帆は立ち止まって見惚れる。
(うわあ、もう初雪?)
都会の景色の上に、遠い昔に訪れたどこかの温泉地が重なった。旅館やホテル、その背後には灰色の山々。懐かしいような、切ないような、胸が締め付けられるような……
なぜだかわからないが、とてもクリアな情景だった。
男に振られようが日常は続いている。
一人暮らしを始めた大学時代から規則正しい生活を崩さない美帆は、いつものように起き、朝食をとり、顔を洗って化粧をし、身支度を整えてアパートを出る。
通勤ラッシュの電車に揺られ、会社の最寄り駅で降りたあとは、歩道をひたすら進んで行く。3時の茶菓子を買うためコンビニに立ち寄ることもあるが、まっすぐに職場を目指すのが基本である。
晴れの日も、雨の日も、それは変わらない。
そう、どんなことがあっても。
「えっ?」
ブーツの先を、白いものが掠めた。
美帆は思わず顔を上げる。
電飾が取り付けられた街路樹も、通勤の車で埋まる道路も、無味乾燥に建ち並ぶオフィスビルも、あっというまに冬の色になっていく。
灰色の空から次々と降りてくる白い欠片に、美帆は立ち止まって見惚れる。
(うわあ、もう初雪?)
都会の景色の上に、遠い昔に訪れたどこかの温泉地が重なった。旅館やホテル、その背後には灰色の山々。懐かしいような、切ないような、胸が締め付けられるような……
なぜだかわからないが、とてもクリアな情景だった。