アイスクリームと雪景色
日程の確認を終える頃、午後11時を過ぎていた。

「さてと、寝不足になるといけないから、そろそろお開きにしましょうか」

『ええー? ちょっと待って下さい。もっと話しましょうよ!』

里村の慌てた声に美帆は苦笑する。

規則正しい生活をモットーとする彼女だが、今夜は例外だ。もう少しだけ里村と話せば、より深く眠れそうな気がする。

クリスマス寒波に襲われた寒い夜には、彼の元気がありがたい。あふれんばかりの熱エネルギーを貰いたかった。

「冗談よ。でも、本当にちょっとだけね」

『は、はい。オッケーです!』

「じゃあ何を話す?」

『俺が話題を提供してもいいんですか?』

「もちろん、あなたがかけてきたんだから、ご自由にどうぞ」

『えっ……自由にしてもいいんですか?』

えらく鼻息が荒い。

(また変な想像してるんじゃ……)

油断はできないが、これは電話だ。変なことになる心配はない。

そう思いながらも、ひざ掛け毛布を腰まで巻き付ける。里村の場合、電話越しでも襲ってきそうな勢いを感じるのだ。
< 211 / 395 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop