アイスクリームと雪景色
「さあ、いいわよ」

『はいっ。じゃあですねえ、質問系でも大丈夫ですか?』

「仕事のこと?」

『いえ、個人的なことです』

個人的というのは、もちろん美帆についてだ。

「質問にもよるけど……」

『あ、変なことは聞きませんよ! まじめなことばっかです』

疑うわけではないが、いやな予感がする。美帆は先回りして釘を刺すことにした。

「それならいいけど、イタ電みたいなことは禁止よ」

『イタ電?』

「例えば、今何を着てるんだ、とか」

『……俺は変態ですか』

心外な口調である。

ちょっと言い過ぎたかなと美帆は思うが、里村にはこれくらいでちょうどいいのだ。

『それじゃ、基本から行きますね。えっと、成田さんの実家はW市でしたよね』

「うん」

『どんなところなんですか? 子どもの頃は、どんな遊びをしました?』

「どんなって……」

故郷について質問されるとは思わなかった。基本といえば基本だが、そんなことを聞いて面白いのだろうか。

美帆は首を傾げるが、変な質問ではないので普通に答えた。
< 212 / 395 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop