アイスクリームと雪景色
ルナがここまで追いかけて来たのは、自分の責任だと言っている。後悔の念に苛まれ、美帆に詫びているのだ。

「そんなこと。あなたは、私のために怒ってくれたんだもの。謝ることないわよ」

「……成田さん、でも」

「平気よ。私があの子に抗議できたのは、あなたがいてくれたから」

美帆は里村に、心から感謝している。

惨めで悲しかった失恋の日々。里村が傍にいてくれたから、立ち直ることができた。エキセントリックな言動に振り回されたけれど、あれは全部美帆のためだったと、今なら分かるのだ。

「成田さん」

「うん?」

里村は美帆から視線を逸らした。恥ずかしいのか照れたのか、顔が赤い。やはり彼は年下の男の子。でも、再び美帆に向けた眼差しは男のものだった。

「俺、必ずあなたを守ります。この先何があっても、絶対に守り抜いてみせます」

「……」

第二グループのメンバーはカラオケに夢中で気付かなかった。

二人が口付けを交わしたことに。
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