アイスクリームと雪景色
「でも、成田さん」
「駄目。今は社員旅行の最中よ」
「はい……」
しゅんとなって、引き下がる。
美帆はほっと息を吐くが、今のは『社員旅行でなければ構わない』という意味に取れるのではと、内心焦った。
この旅行が終わって東京に戻れば普段の生活が始まる。その時、里村に迫られたらどうすればいい? 何も考えず受け入れてしまったことに、今更困惑している。
身体を離しても見つめるのをやめない里村と目が合い、思わず逸らした。
「成田さん」
「駄目」
バッグからファイルを取り出すと、日程表を広げてチェックする。バスは雪のためスピードを控えているが、ほぼ時間通りだ。
美帆は安心するが、胸のどきどきは止まらなかった。
(公私混同はいけない。そう、社員旅行も仕事の内だから。里村くんを教育しなくては、箱崎さんに叱られる。だから、だから……きちんと幹事の仕事をしよう)
ごちゃごちゃの考えを無理やりまとめて、ファイルを閉じた。
再び窓へと視線を向ける。
上谷村温泉まであと3kmという看板が見えてきた。
「駄目。今は社員旅行の最中よ」
「はい……」
しゅんとなって、引き下がる。
美帆はほっと息を吐くが、今のは『社員旅行でなければ構わない』という意味に取れるのではと、内心焦った。
この旅行が終わって東京に戻れば普段の生活が始まる。その時、里村に迫られたらどうすればいい? 何も考えず受け入れてしまったことに、今更困惑している。
身体を離しても見つめるのをやめない里村と目が合い、思わず逸らした。
「成田さん」
「駄目」
バッグからファイルを取り出すと、日程表を広げてチェックする。バスは雪のためスピードを控えているが、ほぼ時間通りだ。
美帆は安心するが、胸のどきどきは止まらなかった。
(公私混同はいけない。そう、社員旅行も仕事の内だから。里村くんを教育しなくては、箱崎さんに叱られる。だから、だから……きちんと幹事の仕事をしよう)
ごちゃごちゃの考えを無理やりまとめて、ファイルを閉じた。
再び窓へと視線を向ける。
上谷村温泉まであと3kmという看板が見えてきた。