アイスクリームと雪景色
美帆は呆気に取られる。

ルナもルナだが、織田も織田だ。彼氏がいるのに里村を狙い、仕事を休んでまで追っかけてきたということだ。

その彼氏は保険みたいなものなのだろうか。

それに、相棒を失ってもルナは落胆した様子がない。美帆が想像したとおり、織田のことは情報を得るため利用しただけに過ぎないのだ。

「もたもた走ってるバスなんてすぐに追い抜いちゃって、成田さんたちより早くホテルに着いたんです。それでー、成田さんとゆっくりおしゃべりしたいなーって、待ってたんですよお」

悪寒が酷くなり、身体が震えだす。

でも、今は里村が傍にいない。それなら、自分一人で戦うしかない。

美帆は、サービスエリアでのやり取りを思い出す。女同士の闘いでは負けるかもしれないが、社会人としてはこちらが先輩だ。あの時のように頭を切り替えればいい。

「話すことなんて、ないわ」

ルナが身構えるのが分かった。今度こそ負けまいとしているのだろう。
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