アイスクリームと雪景色
宏道は口を尖らせる。

ただ一枚の、見知らぬ女の子の写真なのに、どういうわけかとてもがっかりした。

「まあまあ。叔父さんはこの写真を常に持ち歩いてるから、お前が見たい時にいつでも見せてあげるよ」

そう言って、再び懐に仕舞った。

宝物を独り占めされたみたいで、宏道は腹が立った。

それは、男の子として生まれた宏道の抱く、初めての嫉妬だった。


以降、宏道は大叔父と会う度に、女の子の写真を見せてもらう。

だんだんと色あせていく写真の中、女の子は小さな女の子のまま、微笑んでいた。

宏道はある日、指折り数えてみた。

大叔父が出会った時、この子は5歳くらいだった。大叔父が社長になったばかりの年だから、計算すると……

(ということは、俺より7つか8つ年上だ)

今、彼女はどんな女性に成長しているのだろう。

写真を見るたび、なぜだかとても会いたいと思うのだった。
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