アイスクリームと雪景色
いつ、本物に出会えるのだろう。

大叔父の懐に入っている彼女。あの子と、この世で巡り会うなど奇跡だ。そう思いながら、心のどこかでずっと探している。

7つか8つ年上で、今は理想的な女性に成長しているはずの、雪の姫さん。

他人に話せば笑われそうな感情だが、宏道は確信している。

この想いは、純粋無垢な美しさを求める、彼の恋心だった。


大学を卒業した、その年の夏――

北里乳業東京本社の会長室に、宏道はいた。

「宏道、あらためて聞く。北里に入る気はないのか。本当に、海外に移り住むのか」

「だから挨拶に来たんだよ」

宏道は海外のとある企業に目標を定め、就職のための下準備として留学を決めていた。米国で生活するため、今から出発するのだ。
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