アイスクリームと雪景色

『成田さんは仕事が丁寧で、僕らも助かります』『今度取材があるんですけど、また成田さんにお願いしたいな』

何度か仕事をともにするうちに親しくなり、たびたび声をかけられるようになった。

まるで学級委員を励ます先生の言葉のようで、坂崎と接するたび、美帆は懐かしくも嬉しい気持ちになり、彼を好ましく思っていたのだ。

広報部は情報発信のほか宣伝も担当する花形部署のためか、派手で垢抜けたタイプの男性が多い。そんな中で坂崎は地に足の着いた地味な印象であるが、顔立ちは悪くないし、意外とモテるようだ。

恋人はいないらしいと女性社員が噂しているが、計画倒れは嫌なので、美帆はさり気なく聞き出すことにした。答えによっては次の段階へと進み、さらなる作戦を発動するところまで、彼女は順立てを完成させている。

秋が終わり、季節は冬になっていた。

イブは目の前である。躊躇していられなかった。