アイスクリームと雪景色
(こんなにも、私は変わった。小次郎さんと付き合っていた頃の私が、嘘のよう)

坂崎は、今の美帆をどう思うのか。

ふとそんなことを考えたが、すぐに打ち消す。もう、彼は通り過ぎた人で、過去の出来事はすべて思い出なのだ。

「ねえ、やっぱり一滑りしない? これからまたバスに何時間も乗るんだから、少しは運動しておきたいわ」

里村はきょとんとするが、「いいッスね!」と賛成してくれた。

二人は手を繋ぐと、センターハウスに戻るため林道を下りていった。



「スキーなんて久しぶり」

美帆は里村と一緒にレンタルショップでウエアとスキー道具一式を借りて、ゲレンデに出た。

「成田さん、ちょうどいいですね、そのウエア」

「うん。でも、最近のデザインはウエアっぽくないのね。すごく軽いし」

「そうなんですよ。だけど暖かいんですよね。ウエアの技術も進化してるなあって思います」

里村も、黒のウエアがよく似合っている。かなりの腕前のようで、上級者の雰囲気が滲み出ていた。
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