アイスクリームと雪景色
「それじゃ、早速滑りましょう。まずは、てっぺんまで上ってみる?」

「成田さんはどれくらい滑れますか」

「うーん、上級の……下ってところかな」

久しぶりすぎて、自信がない。微妙な言い方になるが、里村は笑うと、お先にどうぞとジェスチャーで示した。

「成田さんのペースで行きましょう」

「あ、ありがとう」


里村の紳士的なリードにホッとする。彼が一緒なら、ルナが現れてもどうってことない気がした。

それに、今はスキーウェアを着て、帽子とゴーグルを装着している。ルナとばったり遭遇しても、誰か分からないかもしれない。

気楽な気持ちで、美帆は滑り出した。


クワッドリフトとペアリフトを乗り継ぎ、ゲレンデの最高点に着いた。バスの運転手が言ったとおり、それは見事な眺めである。

ただしそれは、晴れていたらのこと。
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