アイスクリームと雪景色
一体いつから、美帆をつけ回していたのか。

「どうして……」

ルナに抗議しようとして、里村の言葉を思い出す。

――もしも氷川さんに遭遇したら、相手にしないでください。

――どんな対応しても結局絡んできますから、無視でいきましょう。

美帆は、あらゆる感情を胸に押し込めると、近付いてくるルナに対し自らも歩き出す。今、彼女に言うべきことはただひとつだ。

「返しなさい。それは、私のものよ」

ルナは足を止めた。

風と雪が二人を包み、閉じ込めていく。

「私のもの?」

ルナの顔から皮肉な笑みが消え、眼差しが鋭くなる。唇を震わせ始めた彼女を見て、美帆は足を止める。

美帆の背後は崖であり、前に行くほかない。

だけど、怒りに満ちたルナの目に射られ、前に進めなかった。
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