アイスクリームと雪景色
「でも、あなたと別れて、私と付き合い始めたのに、小次郎さんが見ているのはいつも……」

「……え?」

言葉を途切れさせると、ルナは涙を拭った。そして、しゃくりあげながら叫んだ。

「いつも、あなたのことを目で追ってる。未練がましく見つめてるわ。それなのに、あんたはコネ入社のイケメンといちゃいちゃして、小次郎さんのことなんて完全に無視。小次郎さんが羨ましそうに、あんた達を眺めてるの知ってる? 誰も彼もがあんたのもの。許せない!」

ルナは興奮状態で詰め寄ってくる。

美帆は返事もできない。

いくらなんでも、それは考えすぎだ。ほとんど被害妄想である。

(小次郎さんのこと、信じられないの? あんなに夢中で恋した相手の言動を、どうして素直に受け取れないの?)

そう言おうとして、美帆はひそかに深呼吸する。

この子は、まともな状態ではない。彼女にかけられた悪い魔法を解くには、どうすればいいのか――
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