アイスクリームと雪景色
数日後のクリスマスイブ――

レストランで食事をしたあと、夜景がきれいに見えるタワーホテルの展望階を歩きながら坂崎は、「君のことが、ずっと好きだった」と告白した。

「君はいつも仕事一途で、僕のことは眼中にないと思っていた。だけど、このままじゃダメだ。クリスマスに食事に誘うぞと自分にプレッシャーをかけて、チャンスを窺ってたんだ」

美帆は、坂崎もイブのデートを計画していたことを知り、嬉しく感じた。この人は、私に似たところがある。いや、まさに同じタイプではないか。

「あの日、エレベーターが開いて、そこに立っている君を見て驚いた。いつもきれいな君だけど、とてもお洒落している。こんな魅力的な女性を放っておいたら、すぐ誰かに取られてしまう。僕はもう、迷わなかった」

坂崎の熱っぽい視線が、美帆の足元に留まる。

今はパンプスを履いているが、自分をそんなふうに魅力的に見せてくれたのは、あの日履いていたブーツなのだとわかった。

彼の視線が、それを雄弁に語っている。

「成田さん、僕と付き合ってもらえますか」

「はいっ」

美帆の作戦が成功したのか、それとも彼の?

いずれにせよ、二人はその夜、晴れて交際をスタートさせた。
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