アイスクリームと雪景色
「里村くんはね、あくまでも紳士的に訴えてきたんだ。坂崎さんは、氷川さんをなんだと思っている。どういうつもりなんだ、と」

ルナは、うつむきかけた顔を、そっと持ち上げる。

「君が成田さんにつきまとっていると聞き、僕は言いがかりだと怒った。だけど里村くんはきちんと説明し、電話を切らせなかった。そして今、氷川さんが何を考えているのか知ってください。ちゃんと話し合ってくださいと、説得を続けたんだ。とても熱心に、僕が心から納得するまで」

「里村さんが?」

ルナに対して冷たく、取り付く島もない態度だったのに。

「ルナ、謝るのは僕のほうだ」

「小次郎さん……」

「君はおそらく誤解している。成田さんのこと、傷つけたことをとても後悔しているけど、それは未練じゃない。でも言葉が足らず、不安にさせた。本当に、すまない」

(違う、小次郎さんは悪くない。私は最低なことをしたんだ。自分勝手な思い込みで、成田さんを大変な目に遭わせてしまった)
< 372 / 395 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop