アイスクリームと雪景色
「ごめんなさい。私、怖くて……あなたが、やっぱり私よりあの人を好きな気がして。離れて行っちゃうと思って」

だけど、正面からぶつかることができなかった。正攻法で手に入れた恋では無いと、他の誰でもないルナ自身が知っている。

もっと自分を見て欲しい。でも口に出来なくて、ファッションやメイクを変えたり、間接的にアピールしたのだ。まるで、親に反発しながら愛情を求める子どものように。

「その挙句に、成田さんに八つ当たり。最低です……」

「一緒に詫びよう。これまでのこと、すべて」


二人は降りしきる雪の中、立ち尽くす。自分達だけ暖房の効いた建物に入るのは、罪悪だと感じたのかもしれない。

成田さんは本当に無事なのだろうか。ルナは、風は弱まったが一向に止む気配の無い雪を、心細い気持ちで見つめた。

「そんなところに突っ立ってないで、中に入ったらどうだ」

声をかけたのは、いつの間にか後ろに来ていた箱崎だった――
< 373 / 395 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop