アイスクリームと雪景色
泊まってもいいですよ――


「なんですって?」

ようやく意味が飲み込めた美帆は、里村を睨んだ。強い眼差しにビビッたのか、彼は背筋を伸ばし、顔の前でぶんぶんと手を振った。

「いっ、いやだなあ。ジョーダンですよ、ジョーダン!」

「じょ……?」

すんでのところで、里村の顔にメニューを叩きつけるところだった。

冗談にしてもふざけている!

(おばさんだからって、からかってるの?)

卑屈になる美帆だが、何とか踏ん張った。

私は七つ年上の女であり、会社の先輩であり、教育係なのだ――と胸に言い聞かせ、無理やり笑みを作る。

「ば、ばかね。誰も本気になんてしないわよ」

「で、ですよね!」

「そうよ、あなたに合わせてリアクションしてあげたのよ。ばかね、本当に」

里村は焦っているのか、顔が赤い。

まったく、ばかな男だ。

それ以上に、つまらないジョークに過剰反応する自分が滑稽だった。

(やっぱりコイツは困った後輩だわ。私はこれからも振り回されるのね)
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