アイスクリームと雪景色
(このレストラン、気に入ったわ。今度は週末に来ようっと)

でも誰と?

美帆は自分に問いかける。

既婚の友人や、開発部の面々を思い浮かべた。坂崎の顔も浮かんでしまい、急いで取り消す。前を向いたつもりでも、やはりまだ、未練が残っているのか。

「何か頼みましょうか?」

「え?」

里村の声にびっくりして我に返る。食べながら考え込んでいたらしく、すべての皿が空になっていた。

「ううん、もう満腹だから」

「それならいいんですけど」

元気なく見えたのだろうか。里村は心配そうに美帆を見つめた。


「なんか俺、暑くなってきました。この店、暖房が効きすぎてるなあ」

里村はスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩めた。ペールトーンのワイシャツの袖をまくると、ふうっと息をつく。

美帆は椅子の背にもたれ、里村の肩や胸板の輪郭を、無意識に目でなぞった。意外に筋肉質だ。痩せ型の坂崎とは、対照的な身体つきである。

スーツのストライプ柄が、彼をスリムに見せていたようだ。
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