アイスクリームと雪景色
「どうかしました?」

無遠慮な視線に居心地が悪くなったのか、里村はもじもじした。なぜか照れ笑いを浮かべ、頬を赤らめ、嬉しそうな様子でもある。

大きな図体のくせに、まるで恥ずかしがり屋の女子高生だ。美帆は不気味に思いながらも、訊いてみた。

「里村くんって、何かスポーツやってた?」

滑って転びそうになった美帆を助けた彼の、力強い腕を思い出す。特別な運動でもしていたのではと、推測した。

「あ、はい。子どもの頃から運動は大好きです。サッカーにラグビー、冬はスキーにスノボにクロスカントリーでしょ、あと、乗馬なんかもやってました。まあ、どれも遊びの範囲ですけど」

「へえ、すごいじゃない!」

美帆は感心した。様々なスポーツをすることで運動神経が磨かれ、筋力が付いたのだ。

「いやあ、それほどでもないッスよおー。大したことないッス、マジで!」

「そんなことないわよ。すごく体格もいいし」

「えええっ? 体格がいいだなんてそんなっ……やだなあ先輩、だからジロジロ見てたんですかー?」

「は? いや、別にジロジロなんて」

ぎくりとする美帆に、里村は嬉しそうに笑う。
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